日本や日本企業のグローバル競争力の低下や成長力の不足についての問題意識は、官民ともに高まっています。それに対して、政官財で様々な方針や予算措置が打ち出されていますが、残念ながら低迷の真の原因への正しい理解と、それに沿った施策が実行されていない懸念がますます強くなっています。その中で、大企業の課題と対策はどちらかと言えばそれぞれの企業に任せれていますが、それについてもまだ抜本的な問題解決には至っておらず、一部の例外を除いては、日本の大企業の競争力は急速に低下しています。こうした大企業の問題とともに。日本の課題とされているスタートアップについては、政府や行政が主導している具体策や官民ファンドによるベンチャー投資の努力が行われていますが、その実績は余り大きな成果につながっていません。大企業も自社による新規事業の開発やアーリーステージベンチャーへの投資等、所謂コーポレートベンチャリングもあまり成功しておらず、昨今の事業の再編成で切り出しの対象になっています。

 一方、ある程度の事業年数があるミドルステージベンチャーや、中小・中堅企業(SME=Small Medium Enterprise)の中には、様々な環境や技術の変化に対する進化と継続的な付加価値創出能力を発揮するとともに、大企業のインフラと複合することにより、大きな成長や事業収益に結び付く可能性がある企業もたくさんあります。ただ、そういう企業を大企業や大手金融機関がいきなり買収したり、逆にミドルステージベンチャーやSMEが直接大企業にアプローチしても、双方のギャップが大きすぎることもあり、大企業自体も抱えているホワイトカラーの集団のポテンシャルを最大限に発揮させ、自らの進化や継続的な付加価値の創出体制ができていないのが現実です。

 そうした大企業とスタートアップやミドルステージベンチャー等を側面支援する役割の金融機関やベンチャーキャピタル、投資ファンドや、政官自体の課題の理解も取り組み姿勢も十分でないのが現実だと思います。

 私共マイカホールディングスは、様々なグローバル企業、日本企業をサポートして来た知見に基づいて、そういう潜在可能性を持ち、ある程度のトラックレコードがあるミドルステージベンチャーや優れた可能性を持っているSME企業の事業モデル、経営モデルの変革や、組織運営体制の強化を行うサポートを行うとともに、大企業や行政・金融機関とのギャップが埋まるための橋渡しのサービスを行うことに注力しています。

 一方こういう活動を通じて、日本の国や、政官財、企業、日本人について有効活用されていない潜在可能性や、正しく理解されていない現在の低迷の原因に日々直面するようになり、一社一社へのサーポとともに、何らかの情報発信を行うべきだと考えるようになりました。その結果、このホームページの最後にある「星火燎原」というコラムを作り、そこに日々感じている問題意識やそれを解決する方法についての発信を行うことにしました。「星火燎原」という言葉は、中国の書経にある「星々の火、以って原を焼くべし」つまり、はじめは花火の火のような小さい力でもやがて大きな勢力に成長するという格言から命名されています。このコラムでは、ベンチャーを含む企業の成長や変革へのヒントや、日本を変革するための所感を順次掲載して行く予定です。無論限られた誌面と調査に基づく内容ですので、十分な推考や検証を行っているわけではありませんが、私共プロ達が、「どこかおかしい」、「なぜか本音が理解されなかったり、語られていない」、「本質が抜けている」、「もっとこう考えて行けが解決できるのではないか」、と感じている事象を短い所感の形で掲載行く所存です。

 弊社のこうした活動が、日本や日本企業のグローバル競争力の強化と再成長への小さな”星火”なることを、祈っています。

 

                                            代表取締役社長 堀 新太郎

代表取締役社長

堀 新太郎

【略歴】

  • 早稲田大学理工学部 工業経営学科 学士
  • 同大学院理工学研究科 1年修了
  • マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン・スクール・オブ・マネジメント 経営科学修士
  • 元 マッキンゼー&カンパニー ニューヨーク事務所、東京事務所、大阪事務所担当パートナー
  • 元 UCC上島珈琲株式会社 取締役副社長、監査役
  • 元 ベインアンドカンパニー ジャパン 日本支社長、北アジア代表、ワールドワイドマネージメントコミティーメンバー、会長、名誉顧問(現任)
  • 元 ベインキャピタルジャパン 会長、最高顧問、シニアアドバイザー(現任)
  • 日本産業パートナーズ 創業メンバー、非常勤取締役(現任)
  • マイカホールディングス 代表取締役社長(現在)
  • 元世界三極会議メンバー
  • 元ニューイングランドコンサバトリー(音楽院)理事
  • 経済同友会 委員(現在)

【主な経験業界・事業】

  • 自動車、二輪、自動車部品、エレクトロニクス、電気、通信、電力、再生可能エネルギー、冷蔵・保冷、繊維、化学、石油化学、建築、不動産、建築資材・照明、小売・流通、消費財、時計・精密機械、通販、外食、業務サービス、保険、銀行、カード、消費者金融、カード、医療サービス、医療機器、製薬、テーマパーク、エンターテインメント、音楽、幼児教育、教育サービス、バイオマス、農業、水産業、コングロマリット、
  • 日本企業を中心に、米国、欧州、韓国、インド企業へのコンサルティング・投資アドバイザーサービス 

 

【専門分野】

  • 経営戦略、組織・人事戦略、付加価値創造型組織への進化、人材のフルポテンシャルモデル、オーナー企業マネジメント、後継者マネジメント、多様化・多角化・ポートフォリオマネジメント、M&A、企業の進化・付加価値創出モデルの構築、ミドルステージベンチャー、コーポレートベンチャリング、事業モデル・組織モデルのイノベーション

【主な著書】 

「日本企業 進化の条件」東洋経済新報社

「勇気あるトップが企業を変える」(共著、ダイヤモンド社)

「攻め」のリストラ革命」(共著、ダイヤモンド社)

「戦略コンサルタント活用の鉄則」(ダイヤモンド社)

「創業」主義経営」(プレジデント社)

「マッキンゼー成熟期の成長戦略」共著、プレジデント社、

「マッキンゼー現代の経営戦略」(共著、プレジデント社)等があり、

その他ハーバードビジネスレビュー、ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー、日経ビジネス、東洋経済、エコノミスト、週刊ダイヤモンド等に多数論文を発表。ランダムハウス講談社より出版された「究極の質問」の監訳。「プライベートエクイティ 6つの教訓」の監訳(ファーストプレス社)

 

【その他の活動】 

企業内の講演、産業人セミナー等での講演を数多く手掛けているが、公的な講演としてはシカゴ大学、ハーバード大学、早稲田大学、一橋大学その他の大学・大学院や、エコノミスト、韓国経団連、イスラエル政・財界会議、アメリカ商工会議所、経済産業省等で行っている。